文章手習鑑

第1巻:最初に準備するもの

 何か新しいことを始めようと思い立ったならば、必ず事前準備が必要だ。スポーツであればトレーニングのための器具機材であったり、絵画であれば絵の具や絵筆それにキャンバスなどであったりする。*1

 

 同じように文章を書こうと考えたら、やはり事前に準備しなければいけないものがある。まずは、文章を書くために必要な道具をそろえたい。それは辞書、原稿用紙、筆記具の3点だ。

 

辞書・辞典

 かつてある先輩から「文章を書く場合、国語辞典に載っていない言葉は使うな」ときつく言われたことがある。また「どうしても新語、造語のたぐいを使いたければ、その意味を書け」とも教えられた。考えてみれば当たり前のことではあるものの、文章を書くことに慣れていないと難解な用語を使ってみたり、時代を反映するようなはやり言葉を使ってしまうケースがとても多い。

 

 これから広範な方々に読んでもらえるような文章を書こうと思ったら、国語辞典に載っていない言葉は使わない基本に戻ろう。最初に準備するものは辞典、辞書だ。どこの出版社のものでもいいので、必ずそろえたい。

 
  • 【最低限準備したい辞書、辞典】
  1. 国語辞典
  2. 漢和辞典
  3. 外来語辞典
  4. 用語辞典
 

“しのご”が文章を書く場合、基本的には次のような辞書、辞典を使っている。参考になるだろうか。

 
  • 【使用中の辞書、辞典】
  1. 国語辞典(岩波書店)
  2. 広辞苑(岩波書店)
  3. 漢和辞典(明治書院)
  4. 毎日新聞用語集(毎日新聞社)
  5. 古語辞典(三省堂)
  6. 外来語辞典(三省堂)
  7. 英和辞典(旺文社)
  8. 和英辞典(旺文社)
  9. 故事ことわざ辞典(東京堂出版)
  10. Bookshelf Basic(Microsoft Officeを購入したときのおまけ)
 

 これらの辞書や辞典に加えて現代用語の基礎知識や知恵蔵などの現代用語集があればいい。そしてインターネット検索エンジンでの検索テクニックを身に付ければ、当面は困らない。

 

 Bookshelf Basicやインターネット上の辞書サイトもたまに使う。即座に意味を知りたい場合は有効だが、関連する連想が働かないので頻繁に使うことはない。また反対語辞典や類語辞典もあるが、お持ちの方は分かるとおり、最初のうちは便利に思えても実際にはあまり役に立たない。

 

 日本語を書くには国語辞典、漢和辞典は必須。毎日新聞の用語集は、現在新聞記事で使われている送り仮名や仮名遣い、用字用語の使用方法を確認するために使用している。日本語の文章を書くのに英和辞典、和英辞典は必要かと問われそうだが、これも必要。なぜなら新語の場合は英語をそのままカタカナ表記していることが多いため、英語本来の意味を確認するために使用する。

 

原稿用紙

 次は400字詰めの原稿用紙を準備したい。ワードプロセッサー、いわゆるワープロが普及している現在、原稿用紙を準備しろと言われても何をいまさらと思う方も少なくないだろう。しかし、日本語の文章の基本は原稿用紙なのだ。

 

 原稿を頼まれる場合、必ず原稿用紙10枚などと指定される。単に原稿用紙という場合は400字詰め原稿用紙、特殊な場合で200字詰め原稿用紙(ペラ)、出版社によっては自前の原稿用紙もある。自前の原稿用紙の場合は1行が16字であったりしても、1枚の原稿用紙に400字あるいは200字が収まるようになっていたりする。

 

 文字数を決めるのは、ページ数やコラムの大きさを決める場合に重要な要素となるからだ。書籍や雑誌は1ページの文字数が決まっているのだから、原稿を依頼する側はこの文章に割けるページ数は5ページなどとあらかじめ決めているもの。これを逸脱するとページ数が大幅に増えてしまうことになるため、規定の文字数を超えることは許されないし、作品コンテストでも評価の対象にしてもらえないケースがある。

 

 一方、日本語の文章は原稿用紙に縦書きが基本である。パソコンのモニターは横長なので、ワープロを使用する場合は書きかけの文章を確認する必要性も出てくるため、横書きで書くことも仕方ないだろう。プリントアウトする場合はなるべく縦書きに設定したいところだ。この場合、数字や英文字の向きに注意すること。もちろん理工学系の文章では数字や数式が多いことから、横書きが基本。文章を初めて書くような方は、ぜひ400字詰め原稿用紙を準備して手書きで書くようにしていただきたいと思う。

 

 また、どうしてもワープロで書きたい、あるいは文章を書くことにある程度慣れている方はワープロでもかまわない。ただし、1ページを1行20字×20行の400字に設定し、自動カーニング機能(自動的に文字をそろえる機能)は解除すること。Wordでは原稿用紙設定が可能なので、これを利用してもよい。

 

筆記具

 文章を書くことに慣れるまでは、400字詰め原稿用紙に手書きが望ましい。手書きで1日に40〜50枚の文章を書き続けていると、すぐに手のひらや指が痛くなり、しばらくの間は筆記具を持つことができなくなる。それだけに筆記具の選択は重要だ。

 

 文章を書き続け指が痛くなってくると、筆記具の持ち方を変えてみたり、ほかの筆記具を使ってみたりするのだが、あまり効果はない。痛さに耐えて泣きながら“締め切り”という山を越えるだけだ。長文を書いていて、すぐに手が痛くなるのは安物のボールペン。芯が0.5mmのシャープペンも、勢いがついてくると文字を書いている最中にすぐに折れるので使いたくはない。指の当たる先端付近にゴムのグリップが付いていても、長時間になると効果はない。

 

 人間工学を解析して開発したという本体がくびれたような形状のボールペンやシャープペンも初めのうちは確かに楽ではある。しかし、長時間書き続けていると、これまでとは違う変な方向に指の力をかけなければならないので違和感が出てくる。

 

 結局は長い歴史を生き抜いてきた鉛筆、または万年筆が長時間に渡って文章を書くには適しているのではないかと思う。

 

 ただし、鉛筆の場合は2B程度。B以下になると力を入れて書かねばならないから疲れるし、3B以上になるとすぐに芯が磨り減って、しょちゅう鉛筆を削らなければならない。2Bが可もなく不可もなくで使いやすいのではないだろうか。万年筆は2,000円程度で細字でないものなら、とりあえずは使える。高級万年筆は、使い込んでいくうちにペン先がなじんでくるらしいが、高級品は使用したことがないので何ともコメントのしようがない。

 

 最終的には、文章の直しや校正がやりやすいワープロを使用することになる。鉛筆や万年筆を使用する目的は原稿用紙に慣れてもらうこと、400字の感覚をつかんでもらうことなので、無理に高級品を求める必要はまったくない。金銭的に余裕のある方はどうぞ。

 
文章手習鑑第1巻 終
 

コメント

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  • 考えながら書かねばならない場合、やはりネットではなく紙の(?)辞書ですね。 -- しのご 2006-10-17 (火) 17:43:57



*1 2003年8月13日記載
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Last-modified: 2006-12-26 (火) 15:59:39 (4319d)