文章を書き始めるために必要な道具はそろった。さあ書き始めよう。*1
だが、ちょっと待て。原稿用紙には使い方がある。ここでは、最低限これだけは知っておきたい原稿用紙の使い方を紹介しておきたい。これから文章を書き、何らかの作品コンテストに応募する場合、ここで紹介する程度のことを守っていないと、少々レベルの高い文章や内容であっても、場合によっては評価の対象からはずされてしまう。
最初にその作品と筆者の名前を書くことになる。
タイトルであることを示すようにひとます空ける、次行の下部に名前、さらに1〜3行ほど空けて本文を書き始めればいい。要はタイトルであること、名前であることが分かればいいのだ。これは縦書き横書きでも同じで、特に大きな違いはない。*2
基本中の基本で、段落の書き出しはひとます空ける。もちろん縦書きでも横書きでも同様だ。*3
行末に「、」「。」などの句読点、「( )」などのかっこがある場合は、欄外にぶら下げる。これも縦書き、横書きとも同じである。*4
縦書きの場合は、これまで漢数字を使うことが基本だった。しかし、新聞記事に見られるとおり、最近では漢数字はあまり使われなくなってきている。読みやすいことが、その理由だと思われる。
原則として、縦書きでは数字が2桁の場合はひとますに書き、3桁以上はひとますにそのまま縦に数字を書く。また、横書きの場合は数字は半角、つまりひとますに2個の数字を書く。*5。
一度書いた文章で誤字脱字、新しい文章を挿入したい場合は、下の例のように挿入記号を使って校正する。有名作家でも原稿は、そうした挿入削除でぐちゃぐちゃなので、とてもきたない原稿だ。
ただし、作品コンテストに応募する場合は、ぐちゃぐちゃの原稿では読んでもらえない。清書したほうがいい。もっとも、最近はワープロ原稿なのできれいだが。*6
原稿用紙に手書きで書いた文字とはいえ、それは読める文字でなければならない。一文字一文字吟味して書く必要はないが、それなりの美しさは必要であろう。
あまりにも昔のことなので不明だが、下記の文字の書き方は、まだワープロなどがなかったころコピーライターがクライアントへ広告文案のチェックを受けるために使っていたようだ。ひとますごとにます目いっぱいに文字を書くスタイルである。
広告業界では普通だったのだろうが、新聞雑誌の世界でこの文字スタイルで原稿を書いたら、「こんな読みにくい原稿を書くな」と怒られた。その業界ごとに必要とされる文字スタイルがあるのだと気が付いた。*7。
そのほかにも原稿用紙を使用する場合の決まりがある。
まずは、この程度の決まりさえ知っていれば当面は不都合はないだろう。
そもそもなぜ原稿用紙を使うのか? それは文字数計算に便利だったからだ。400字詰め原稿用紙10枚であれば4000字だが、誌面1ページの文字数が1500字であればおおよそ2.6ページ。ご自由に書いてくださいといわれても、400字×枚数、その文字数に原稿用紙の最後で行数×20字を合計すれば、その原稿の総文字数が算出される。これを誌面1ページの文字数で割ればページ数が算出できるわけだ。
さらに新聞紙面のような場合、カコミ記事の大きさが決められる。
また2.6ページなどと中途半端なページ数ではあっても、残りの0.4ページ分には写真あるいは広告などを入れるスペースとして活用できる。
一方、ワープロ原稿の場合はどうか。作品コンテストの場合だと、原稿1ページに「1行30字、40行」などと指定されている場合が多い。これらも、文字数計算が簡単に行えるように考えられているわけだ。
とりあえずは基本となる400字詰め原稿用紙に慣れていただきたいと思う。
なにかあれば、どうぞ。