第3巻:書いて覚えよう!原稿用紙の使い方

 文章手習鑑第2巻「これだけは守りたい!原稿用紙の使い方」は大きな反響があり、かなり驚いたというのが正直な感想である。教育関係者、高校生、大学生、はたまた企業の方々などさまざまな分野の方々が訪れ、じっくりと読んでくれた方、こんなもんかと去っていく方とさまざまだった。

 

 そこで、この反響の大きさを受けて、前巻の原稿用紙の使い方を基礎編と位置付け、第3巻では実践編として原稿用紙の使い方を述べてみたい。

 

原稿用紙に書く大前提

 前巻の原稿用紙の使い方において、あまりにも簡単に原稿用紙の使い方を記載したため、おそらくがっかりした方が多かったのではないかと思う。しかし、原稿用紙に原稿を書いている現場では、あれ以上の使い方にお目にかかることはめったにないし、その現場にいた者として、出会ったこともあまりない。

 

 「こんなもんか」と去っていった方々は、何を期待していたのだろうか。おそらく授業や研修などで1時間にわたって話せるような内容を期待していたに違いない。それは、どんな内容だろう……、おそらく入学、就職試験などで課される小論文において点数のとれる方法のひとつとして着目したのだろう。

 

 こうした方々は、そもそもなぜ原稿用紙に書かなければならないのかを理解していない。

 

 原稿用紙に書くということは、活字になることを前提としている。だから文字数、行数の計算、ページ数の割り付けに便利な原稿用紙を使うのである。だから掲載紙・誌に応じた出版社独自の原稿用紙も存在するのである。

 

 この「活字になる」という前提を理解していないから、さも原稿用紙に書くことが特別なことであり、教育関係者にいたっては何らかの教育的効果 あるいは受験対策の方法を見い出そうとする。活字になることを前提として考えれば、原稿用紙に書かれた文章はあくまでも素材だ。そして完成品とは活字になった文書なのである。

 

 なお、入学、就職試験としての小論文の場合は、原稿用紙の使い方に何が求められているのかボクにはわかりません。むしろ小論文受験対策関連サイトを参照していただきたいと思う。

 

完成品から学ぶ原稿スタイル

 活字になったものが完成品であるとすれば、原稿用紙の使い方も完成品から学ぶのが手っ取り早い。

 

 まずはテキストを準備しよう。新聞であれば「社説」あるいは比較的長文の「特集記事」があればいい。そうでなければルポルタージュ、小説などなんでもいい。ただし、ここでテキストとして選択するのは、物書きのプロが書いた作品を選ばなければならない。

 

 次にすることは、そうその文章を単純に原稿用紙へ書き写すのだ。縦書きの文章であれば縦書きで、横書きの文章であれば横書きで書き写す。数字や記号の扱いは、とりあえず活字となった文章のままでよい。社説や特集記事なら全文、その他本の作品などであれば、最低でも原稿用紙10枚程度の分量は書き写したい。

 

 やることは、たったこれだけ。あとは書き写した原稿用紙を基に分析してみるわけだ。分析こそが原稿用紙の使い方を学ぶ上で、最も重要な作業である。

 

 例えば数字の扱い方だ。以前は縦書きの場合は漢数字を使ったものだ。しかし、現在では新聞、雑誌記事をみてわかるとおり、縦書きでも算用数字を使うケースが多くなってきている。これは読みやすさ、理解のしやすさを求められているからで、その意味においては原稿用紙の使い方も変化してきている。数字の扱い方については前巻で説明しているので参照して欲しい。

 

 活字になることを前提としていない小論文試験などで算用数字を使ったら、おそらく減点対象かもしれないが、このあたりは受験テクニックだろうから、それこそ受験関連サイトを参照した方がいいだろう。自分の書いた文章を活字にしたいのであれば、新聞や雑誌記事のスタイルを踏襲することをお勧めしたいところだ。

 

 いま完成品としての文章に求められていることは読みやすさ、理解のしやすさであるり、その要求に応じた原稿を書かねばならない。そのため素材となる原稿の書き方にも変化が生じ、その変化に応じて原稿用紙を使わねばならないわけだ。

 

練られた文書スタイル

 さて書き写した原稿用紙をみて欲しい。

 

 ここでは物書きのプロの文章を選んでいるわけだが、これらの方々は原稿用紙で特別な使い方をしていただろうか、前巻で述べた以上の特殊な原稿用紙の使い方をしていた例は発見できただろうか。数式や公式の羅列というような特殊ケースを除いては、 乱れがなくきっちりと原稿用紙を使いこなしていることが分かるだろう。

 

 例えば文末の処理。原稿用紙の行末に、文章の文末がきて、しかも「?」「!」などといった記号が登場し処理に迷うようなケースもほとんどない。実に素直な文章の折り返しとなっていることにも気が付くだろう。

 

 これは、どういうことか。答えは簡単で、きちんと原稿用紙のます目に納まるように文章が練られているのだ。推敲に推敲を重ね何度か書き直したものもあるだろう。ほとんど書きっぱなしという原稿はないだろう。それだけ文章が練られているわけだ。

 

 こうしてプロの書いた文章を原稿用紙に書き写してみれば、原稿用紙の使い方もわかる。もし、理工学分野であれば、科学専門の雑誌記者が書いた記事を書き写してみればいい。

 

 これまで考えていた以上にむずかしい原稿用紙の使い方をしていないことに気が付くことだろう。

 
文章手習鑑第3巻 終
 

コメント

なにかあれば、どうぞ。


  • やっぱり書き写しが一番です。 -- しのご 2006-10-17 (火) 18:43:53
  • Thank you so much! -- BlackBird.? 2011-08-22 (月) 23:40:31


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Last-modified: 2011-08-22 (月) 23:40:31 (2492d)